※当時深夜テンションで書いて何故か好評を頂き恒例行事になったシリーズです
①「ちょっといいかい二振り目」
②「どうしたんだい一振り目」
①「このデータを見てほしい」
②「全燭台切光忠が憤死しそうな文字列が並んでいるね、これは?」
①「見ての通りだよ、各本丸へアンケートを募り特に悲惨だと思われる四振りを抜粋。さらにその四振りで頂上決戦を行ったんだ」
②「底辺決戦の間違いじゃないかな。というか三番目と四番目僕らだよね? 一番目と二番目はまずどういう経緯でそんな状況に陥ったのか説明が欲しいよね」
①「相変わらずよく回る舌だね。解説役として頼もしい限りだよ」
②「何を解説しろって? 君の敗因は小学生みたいな愛情表現の一言に尽きるよ」
①「過去は所詮過去だよ。眼を向けるなら今、そして未来さ。あれから二年以上経って本丸、まあぶっちゃけ書いた燭へし小説の数も増えたわけだけど」
②「折角それっぽい世界観設定つけたのにメタ路線に走ったね。本丸アンケートのくだり要る?」
①「要るさ、他の燭台切を引っ張ってくる口実になる」
②「要するに新入りに尋問して、可哀想な燭台切光忠選手権の新たな敗北者を決めようって寸法かい。み、みみっちい……! うちの筆頭近侍がそんなことでいいのか!」
①「いいんだよ。ぶっちぎりで優勝してしまった僕はもう何も怖くない」
②「二連覇の暁には斬首します公約にしか聞こえない……」
①「というわけで選手の入場だよ。エントリーナンバー1、園芸部の長船光忠くん」
🍅「自分と同じ顔をした男の人が二人……今度はドッペルゲンガーか、嫌だなあ」
②「流石は霊感少年、非現実的な光景への耐性が高すぎる」
①「霊感少年か、なるほどそれが原因で小さい頃はイジメに遭っていたと」
🍅「この驚異的に物分かりが良い方は一体何者なんですか?」
②「伊達男の矜恃をメジャーリーグの速度で投げ飛ばすのが得意なお兄さんだよ」
①「幼少期のイジメ……リアルに可哀想なポイント+10!」
🍅「まあ確かに嫌な思いはしましたけど、でもこの目のお陰で長谷部くんとも会えたので」
②「なるほど長谷部くんに出会い恋をして、イジメに負けない男になろうと努力したんだね。うんうん、光忠の名を冠する以上はそうでないと」
🍅「こっちのお兄さんも理解の速さが新幹線のそれだった」
①「それで普通に良い男になって終了じゃ得点が低すぎる。長谷部くんと拗れたりはしなかったのかい」
🍅「風邪をひいたときに熱に浮かされて告白してしまったんだけど、それから七年ぐらい音信不通になったね……」
①「いいね! 可哀想ポイント+20!」
🍅「その後は幽体離脱した長谷部くんが僕に会いに来てくれたんだけど、最初記憶喪失の振りをされてたんだよね」
①「おっと不穏な気配、+5点」
🍅「で、身体を張ったり色々して理由を聞き出してみれば、もう自分は半分死んだ身だから光忠の一番にはなれない、だから忘れることにしたって話で」
①「は?」
🍅「七年前の告白から逃げたのも、夏休みが終わって会えなくなるのが嫌だったかららしくて、長谷部くん本当そういうところあるよねえ」
①「いやノロケは聞いてないんだけど」
🍅「無事に長谷部くんが健康体になってからは同じ大学に通えるようになったし、ルームシェアで毎日二人きりで過ごせるしもう人生最高だよ~」
①「ハイご協力ありがとうございました!!!!」
②「判定は?」
①「リア充が参加できるほど甘い企画じゃないよ」
②「そうですか」
①「気を取り直して、エントリーナンバー2! 開かずの間の燭台切光忠!」
💪「来て早々だけど、このアイコンなに?」
①「作中で腕一本斬り落とすだろう君」
💪「すごく不穏なシーンからチョイスしたね? 内容知らない人からしたら完全に脳筋のイメージだよね?」
①「さて開かずの間の僕も中々な経歴だねえ。既に触れた通り自分の腕を切り落とし、そのまま一振りで敵に特攻し玉砕、刀剣破壊を経ての復活劇……うーん波瀾万丈だ。可哀想なSM(※S:燭台切 M:光忠)ポイントを80贈呈しよう」
💪「この場に呼ばれていること自体が不幸なんじゃないかな」
①「しかし逸材だね……色恋沙汰で好きな子に酷い目に遭わされるようなラブコメ入った悲劇じゃなくて、真っ当に酷い目に遭ってるじゃないか」
💪「まあ復活することは予め知ってたし、ほとんど茶番だよね」
②「破壊が前提の茶番とかある?」
①「えーっと、呼んどいて何だけど重すぎる。ご足労頂きありがとうございました。今回はご縁が無かったということで」
💪「いつから面接になってたんだい。まあいいや帰っていいなら帰るよ」
②「お疲れ様、これ僕たちで作ったずんだ餅。みんなで食べてね」
💪「ありがとう。よく解らないけど君たちも頑張ってね」
②「最後までまともだったね」
①「ちょっと世界観が違いすぎたね。本筋がシリアスでもピーナッツを割ったりミクロフィリア等の特殊性癖持ちなら全く問題無いんだけど」
②「そうだね、両想いなのに全く気付かず空回ってレベル1の後輩をいびるようなベテランならぶっちぎり優勝なのにね」
①「さくさく行こう。エントリーナンバー3、自称ノンケ台切!」
ノ「あ、僕はアイコンじゃないんだ」
②「通称のノンケを表すアイコンなんてないしね」
①「というか君ノンケでも何でもないよね。開き直る前から長谷部くんを性的な目で見ていたじゃないか」
②「しかも幼なじみで長谷部くんから告白」
①「そのくせ女の子と付き合って性欲発散して、長谷部くんには思わせぶりな態度だけとってキープとか全燭台切光忠の敵と言っても過言じゃない」
②「園芸部の光忠くんが可愛く見えるレベルだよ。判定する意味あるのかい一振り目」
①「うーん、無いね!」
②「だって、お疲れ様!」
ノ「僕ほぼ喋ってすらいないんだけど!?」
①「いいよ……作中の火事が焼け石に水になるレベルで君は採点するに値しないよ……光忠が一振りを理性で御してからノンケを名乗るんだね」
②「次はもう少しまともで、かつそれなりに隙の有る個体だといいね」
①「君も解ってきたみたいだね、よし次だ!」
🦇「トマト栽培の講習会って聞いてきたのに何だこれ」
①「エントリーナンバー4、吸血鬼台切! いやあ期待の新人って感じで嬉しいよ! 十五年も好きな子に親の仇だと誤解されてたんだって!? いいね、僕はそういうタイプの燭台切を待ってたんだ!」
🦇「五百年生きてて初めてされるタイプの期待」
①「で、実際十五年間どうだった? 長谷部くんに憎い相手としか思われず、あらゆるアプローチを施しても神経を逆撫でするだけだったって状況は!」
🦇「そうだね……僕に復讐することだけを考えて、僕を想って日々剣の腕を磨いてる長谷部くんはとっても可愛かったなあ……」
①「ん?」
🦇「何だかんだで僕の差し入れは残さず食べてくれるし、雑談にもちゃんと相槌打ってくれるし、真実を知ったときも自分から距離を置こうとしたのに、僕が倒れてるの見たら形振り構わず身体まで差し出してくるんだもんなあ……お人好しというか何というか……放っておけないよねえ長谷部くんって」
①「…………つまり君は誤解されてた十五年間別に悲しくも何ともなかったってこと?」
🦇「少しは寂しかったけど、会ったときから長谷部くんは僕のこと大好きなのは知ってたからね」
①「わかりました、貴重なお話を聞かせて頂きありがとうございます。トマト栽培の講義は畑にいる桑名くんからどうぞ」
🦇「ありがとう。お礼に今度うちのトマトも贈るよ」
②「……長谷部くんの幼少期を知ってる組は軒並みリア充になっていくね」
①「パロ勢はわかるよ。でもノンケ台切くんは本丸軸なのに長谷部くんの小さい頃まで知ってるってどいうことだよ! 理不尽ッ……! 世の中理不尽すぎるッ……!」
②「安心しなよ一振り目、最後はどちらも純然たる本丸軸だからその手の葛藤は無いよ
①「二振り目……! そうだね、過去を振り切るのがこの企画だ。僕は残る新人二振りに賭ける! エントリーナンバー5! はきだめ本丸の燭台切!」
🗑「仕方ないとはいえアイコン」
②「いやそこは本当許して」
①「はきだめの僕は長谷部くん以前に世界観がえぐいね……」
②「僕より圧倒的に長谷部くんの方が酷い目に遭ってるよね……」
🗑「それに関しては同意だよ。長谷部くんに余裕が無かったとはいえ、封鎖される前に口説いておけば良かったかなあ」
②「それはそれで君がいなくなったときの反動がさ……」
🗑「でも後に長谷部くんが主たちと再会できたことを思えば、あそこで彼に呪いだけ残して消えたのも悪くなかったかなって」
①「結果的に長谷部くんだけじゃなくて、江の刀や本霊も救えたことを考えるとねえ……あれこれ何の企画だっけ」
②「開かずの間とは別ベクトルで重くて趣旨を完全に忘れてたね」
🗑「僕は自分の選択を後悔したくはないし、今の長谷部くんはとても幸せそうだから、もしもの話はここだけの秘密にするよ」
①「普通に格好良すぎて採点云々言ってる自分が恥ずかしくなる」
②「一振り目に理性が戻り始めた。企画が瓦解する前に🗑の僕にはお帰り願おう」
🗑「そう? じゃあお疲れ」
①「ハッ🗑の僕は!?」
②「もう帰ったよ」
①「馬鹿な……次で最後じゃないか! 採点不可の面子ばかり来るとはこのリハクの目をもってしても」
②「まあまあ、トリだけあって次は君好みの燭台切だと思うよ」
①「そうだね……パンドラの箱だって最後には希望が残っていたはずだしね!」
🧠「いやこのアイコンは無いよ。脳内彼氏なのは僕じゃないからね。僕は元ネタの方だからね」
①「インパクト重視さ、細かいことは気にしないでくれエントリーナンバー6脳内彼氏の燭台切」
🧠「どうあがいても僕の方が脳内彼氏みたいに聞こえる仕様だ」
①「さて君の作中での活躍、は……ア”?」
②「どうしたんだい潰れた蛙みたいな声出して」
「二振り目さあ、さっき僕好みの燭台切が来るって言ってたよね……?」
②「言ったよ。君好みだろう? 好きな子が自分と同じ顔した男を囲っていて、しかも今度は誤解じゃなく半端ながらに肉体関係も有るときた」
①「僕をNTR趣味みたいに言うな」
🧠「こちらとしても結構気にしてる部分なんだけど、容赦なく刺してきたね」
①「いや、まずさ……そういう半NTRみたいな事態に陥ったのはほぼ自業自得じゃないか! 脳内彼氏ができる前の状況なんだこれ! 長谷部くんから告白されて付き合って散々キスしていざ本番ってときに勃たなかっただあ!? ノンケ台切くんだって吹っ切れるまで同衾まではしてなかったよ! これっっっっぽっちも同情できないねぇ!? 燭台切光忠たるもの、長谷部くんに誘われたら自覚あるなしにめちゃくちゃに抱いて自分のものにするべきなんだよ! 長谷部くんみたいな繊細が過ぎて面倒な刀は一度NO枕突きつけられたら「やはりあいつに俺は相応しくないんだ……」って僕から離れた後、全てを思い出にして二度と近寄らなくなるか、無茶な戦い方して折れるまであるからね!? 君は光忠が一振りによってへし切長谷部がどれほどの影響を受けるか自分の股間と向き合ってみるべきだよ!」
②「一振り目……」
①「なに!?」
②「長谷部くん来てるよ」
①「え」
長「……」
①「長谷部くんさっきの聞いて」
長「繊細が過ぎて面倒な刀で悪かったな」
①「ま、待ってくれ長谷部く、あークソ脚が速い! まだ極めたてとはいえ機動70流石だな畜生!」
🧠「進行役がいなくなったんだけど」
②「そうだね、ここでお開きだね」
🧠「自覚しないうちに恋仲になった僕の選択は間違ってたんだろうか」
②「……さあね。外野があれこれ言って決めるような問題じゃない。ただ一つ確かなのは、本当に間違ってたら君の長谷部くんは今笑ってないんじゃないかな」
🧠「そうか。ありがとう」
②「はは、それはこちらの台詞だよ」
翌朝
①「おはよう二振り目✨」
②「おはよう、語尾に滲み出るくらいツヤツヤ肌だね……」
①「いやあ僕は昨日改めて思ったんだよね! 余所は余所、うちはうち。どういう経緯だろうと最後に長谷部くんと幸せになれたなら、その時点でどの燭台切も勝ち組だってね✨」
②「そうかい、もっとはよ気付け」